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「IAF Japan ワールドカフェ・アジア パート2 “グローバル・コラボレーションの新たな可能性”」レポート

2016年10月17日に実施した、IAF Japan ワールドカフェ・アジア パート2 “グローバル・コラボレーションの新たな可能性”の振り返りセッションを先日行いました。

そこでの気づきを、ブログにまとめたいと思います。

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バイリンガル・ハイブリッド・ワークショップの構成

このイベントは、これまで実施したワールドカフェの中で、最も複雑なものでした。

・リアルの会場とオンライン会場(Zoom)を結んだハイブリッドセッション
・英語と日本語の両方を使用するバイリンガルセッション

ということで、非常に複雑なオペレーションが必要となりました。大規模なハイブリッド・ワークショップでは、次の3つの役割が必要となります。

リアル会場のファシリテーター:香取一昭さん
オンライン会場のファシリテーター:田原真人
リアルとオンラインとをブリッジ役:小瀬一幸さん

この中で、最も難しい役割は、ブリッジ役です。会場の音響設備を確認し、ハウリングしないように設定したり、内容に合わせてZoomのビューを切り替えたりするのですが、リアル会場の進行とオンライン会場の進行との両方を把握している必要があり、豊富な経験が必要になります。また、会場ごとに異なる音響設備にも対応する必要があり、技術面の知識も必要となります。

今回、ブリッジ役を務めた小瀬さんは、日本ファシリテーション協会(FAJ)のイベントでシステムリーダーを務めるなど、多くのナレッジを蓄積しており、今回の難しいミッションをやり遂げて下さいました。

小瀬さんのブログ記事に詳しい様子が書いてありますので、セッションの様子は、そちらも参照して下さい。

ハイブリッドワークショップとは何なのか? ハイブリッドワールドカフェを振り返って

セッションスタート&インスピレーショントーク

セッションは、IAF JAPAN理事の岩城さんの挨拶から始まり、リアル会場のファシリテーターの香取さんが、ハイブリッド・ワールドカフェについて説明するところから始まりました。

その後、田原と、スイスのジュネーブからアクセスしている栗崎さんが、インスピレーショントークを行いました。

インスピレーショントークは英語で行い、スライドに英語と日本語を併記する形で行いました。

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インスピレーショントークの後の質疑応答は、会場の通訳ボランティアに協力していただきました。次のような流れで、質問と回答を行いました。

英語話者からの質問 → 通訳ボランティアが日本語に通訳 → 回答者が英語と日本語で回答

日本語話者からの質問 → 通訳ボランティアが英語に通訳 → 回答者が英語と日本語で回答

バイリンガル話者からの質問 → 質問者が英語と日本語で質問 → 回答者が英語と日本語で回答

オンラインで実施するバイリンガル・ワールドカフェの難しさ

その後、3ラウンドのワールドカフェをリアル会場とオンライン会場とで同時に行いました。

セッションの全体像は、小瀬さんのブログを参照していただくとして、Zoomファシリテーターとしての視点からの気づきを書きたいと思います。

今回の私のチャレンジは、バイリンガル・ワールドカフェをZoomでどのように行うのかというところでした。

リアル会場でバイリンガル・ワールドカフェを行うときには、日本語で話すテーブルと英語で話すテーブルを用意し、メンバーをシャッフルするときに、各自がテーブルを選択することが可能です。

しかし、Zoomで行うワールドカフェでは、Zoomのホストがメンバーの割り振りを決めますので、誰が英語話者で、誰が日本語話者なのかを、Zoomのホストが把握し、適切にグループに分ける必要があります。

事前に名簿はいただいていましたが、名簿の名前とZoomの表示名が異なることもあるため、日本語と英語とで呼びかけて、名前の確認をし、Zoomの表示を変更していきました。また、名前の前に、J(日本語)、E(英語)、B(日本語、または、英語)の文字をつけ、グループ分けのときの参考になるようにしました。

例えば、私が、日本語と英語のどちらでも参加可だとしたら、「B Masato Tahara」のように名前を設定します。このようにすると、Zoomでブレークセッションを設定するときに、アルファベット順に名簿がソートされるので、日本語テーブルと、英語テーブルに分けるのが楽になります。

名前の前にアルファベットや数字をつけて、グループ分けをやりやすくするという工夫は、様々なところで応用が利きますので、ぜひ、使ってみて下さい。

新たなチャレンジの可能性

バイリンガル・ハイブリッドセッションをやってみて、言語の壁を乗り越えるための工夫を2つ思いつきました。

1)字幕機能の利用

Zoomには、字幕機能があります。ストーリーテリングをするときに、あらかじめ話す内容をスクリプトで用意しておき、担当者が話すタイミングに合わせて字幕を表示していくことで、ストーリーテリングの内容が伝わりやすくなると感じました。事前の準備は大変になりますが、効果は大きいと思います。

2)ストーリーテリングを動画にする

私は、反転授業に取り組む実践者なので、集まって活動するときに、動画を利用して、一方的に話す時間をできるだけ少なくしたいと常に考えています。ストーリーテリングの部分を動画にすると、事前に字幕をつけることが可能になり、情報を効率よく共有することができます。ストーリーテリングを行った本人がセッションに参加していて、質疑応答に応じるのであれば、臨場感は失われずに、セッションの質を高められるかもしれません。動画を事前視聴にすれば、会話の時間を増やすことが可能になるというメリットもあります。

多様な視点を持ち寄るところにワールドカフェの価値がある

バイリンガル・ハイブリッド・ワールドカフェには、技術的な難しさや改善すべきところはたくさんありますが、非常に大きな価値があると私は考えています。

それは、地域や組織の取り組みにおいて、課題解決のヒントになるような多様な視点を取り入れることができるからです。

ある地域や組織が抱える課題を共有し、それについて、国境を越えてグローバルにアイディアを出し合い、それらが一枚の絵として繋がって集合知を生み出すことができるとしたら、画期的な価値を生み出すのではないでしょうか。

ワールドカフェは、多様な視点を持ち寄り、集合知にアクセスすることができる対話の手法です。

国境を越えた多様な視点を持ち寄ることは、これまでは、物理的な制約により難しかったのですが、Zoomを使えば安価なコストで実現できます。

バイリンガル・ハイブリッド・ワールドカフェを、実効性が生まれるレベルまでブラッシュアップできたときに、イノベーションが生まれるかもしれません。私は、そこに期待しています。

【お知らせ】

12月5日20:30-22:00で、ハイブリッドセッションで、Zoomファシリテーターをつとめた田原と、ブリッジ役を務めた小瀬一幸さんとで、「ハイブリッド・ワークショップが切り開く未来」というオンラインイベントを実施します。詳しくはこちら

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