ありえる楽考

ジャンル マーケティング・イノベーション
主宰者 鈴木利和
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ありえる楽考は、自分が人生をかけて、「魂から成し遂げたい価値創造の活動(たまかつ)」を決めて、必要な才能を創り出し、やり抜く力を高める「マーケティングとイノベーション※」の場です。目指しているゴールは「たまかつ」が似ていて、苦手なことを補完しあい、自分が得意なことを活かしあえるチームになることです。このチーム同士が応援しあう場になってゆけばと考えています。
※ここでいう「マーケティングとイノベーション※」は安冨氏が、『ドラッカーと論語』で提唱した、マーケティング=自分を知り他者を知る、イノベーション=学びて革める、実行した結果からフィードバックをとって変わる=成長という意味で使っています。

私自身は、組織デザイナーとして、「全員がリーダーシップを発揮する創造的な組織」づくりに取り組んできました。ありえる楽考はその組織の「実践例」であり、自社がこんな場になたらいいなと具体的にイメージしてもらえる場にしようとしています(道半ばではありますが)。どんな場かを言葉で伝えることは難しいので、実際に参加してもらい感じてもらう場でもあります。
日本は、工業社会化で成功しすぎたために、知識社会への適応に遅れたように見えます。大量生産大量消費を前提とした大組織で、経営の目的や目標は経営層が決めて、社員の大半は所与の目的・目標を効率よく達成する手段だけ考えることを求められているのではないでしょうか。それに合わせて、学校でも会社でも効率だけを考えていて、そもそも「なぜ」やるのか「なに」をやるのかを考えることをしません。その結果、目的を考える発想自体がない、あったとしても苦手な人が多い世の中になってしまった。それが今日の日本の閉塞感の原因ではないかと考えています。
工業社会の特徴である効率化を求めるための規格化、標準化は、本来多様であるはずの人間性を抑圧するからです。より多くお金を稼げるかどうかが指標となり、比較してどちらが優れているか競いあうことで、人々はいともたやすく分断されてしまいます。お金があると必要なサービスをお金で買えば済むので、めんどうで時間のかかる信頼関係による助けあいを必要としないために、自分さえ良ければ良いという行動を促進し、分断や孤立が助長される悪循環が働いてしまい、全体を俯瞰することができなくなっています。
この閉塞感から抜け出すためには、「効率的な手段」だけ考えることから「目的=目指す的(まと)」も自分で考える、新たな指標もやルールも自分たちでつくるように発想を変えることで、自ら効果を高め、価値創造することを常識習慣にすることが有効だと考えています。そのためには、一人ひとりの現実に寄り添って継続的に関わり続ける「事上練磨」が最適であると考えています。また、分断からつながりを再生するために、自分だけではなく、他者がどのように感じ考え判断しているのかを知り対比することで自分を知ることが有効です。

初めてZoomを使ったきっかけは、ワークショップの振り返りセッションでした。全体を俯瞰して、助けあうゲームを使って気づいたことを24時間以内に実行してもらうワークショップで、実践した結果を振り返るのにZOOMを使ってみたところ、思った以上に評判がよく、翌週も続けたいということで、振り返りの会が始まりました。意図せず、マーケティングとイノベーションに最適な方法をつくることができてしまったのです。

今は、通常では会うことのない多様な4人で週1回1時間12週間一緒に振り返って学びあうことに使っています。オンラインなので、海外にいても、地方にいても参加できます。
画面共有機能を使って、iPadとApple Pencil を使ってOneNoteに書き込みをしながら話を聞いて、感じたことを率直に伝え、もらったフィードバックによって、自分が「感じた」ことを話しています。画面の共有でiPadを使えることが他のオンラインミーティングにない決定的な機能です。この機能無くしてありえる楽考は成り立たちません。

通話が安定していて表情を見ながら話を聞けることも助かっています。録画もしていて、後から振り返る材料として提供しています。

私たちが工夫しているのは、OneNoteと組み合わせて使っている点です。OneNoteの手描き機能とiPadとApple Pencilの組み合わせが大きなブレイクスルーになりました。事前に自分で一度振り返っていることそこに書き込んでゆくことで追体験のレベルが深くなり、集中した場ができていると思います。また、次の5つの点を重要視しています。

(1)少ないルール
やらされ感をできるだけなくすために、ルールを最小にしています。
通常対話の際には、守秘義務や相手の話を否定しない、話を独占しないなどがグランドルールとして、提示され、発表時間は何分など細かい指示がされることが多いです。
ありえる楽考では、やりながら各自が軌道修正してよりよい形におさまってゆくと信じて委ねることで主体的に参加するようになってきます。

(2)率直に感じたことを話す
これが唯一のルール。相手にとってプラスになることを考えて言うことが世の中で普通に行われていることだと思います。この場は、アドバイスをしあう場ではなく、あくまで、他者を鑑に自分に向きあうことがしたいです。本質は言葉にならない感覚の方にあります。自分が感じていることと向きあうことで、相手に起きていることを理解し、その上で感じ方の違いから自分の関心が何か相手の関心が何かを知ることができます。考えたことを話したのでは、この内省が起きないのです。

(3)多様な4人でやる
複数の感じ方を対比することで、自分の中でのあたり前が揺さぶられます。1対1ではわたしは正しい、おかしいのはあなただ、自分の価値観を押し付けないでもらいたいという拒絶が起きるところを自分が間違っているかもしれないという変化の土壌をつくることができます。少ないと相対化の対象が少なく、多いと時間がかかってしまいます。3人だと1人減ると場の力が極端に弱くなり、5人だと多すぎるので4人がベストというのが現在の結論です。

(4)3ヶ月毎にクラス替え
最初は、知らない人から始まったものの12週間一緒に「感じていること」をわかちあうことで深い信頼関係ができます。そうするとこの場がコンフォートゾーンになってしまい挑戦の意欲が薄れてくるので、また、知らない人と組みあわせることで、3ヶ月前とは変わっている自分に気づくことができます。

(5)場への与贈制
場により多く貢献した人が、より多く受け取るということが経験として確信しています。定価を設定していないことで、参加者は価値とは何かと向き合うことになります。工業社会の消費者から価値創造者に変わるために、価値と自分の貢献を考えることが有効です。参加費が増えた場合は場に価値を感じ、減る場合は満足度が低くなっているシビアなフィードバックとして、より良い場にしようという意欲につながります。

実際にやってみて、次の6つの効果を感じています。

(1)たまかつが徐々にではあるが確実に固まってくる
人生の目的を設定することは、一朝一夕にはできません。しかし、ZOOMを使って接触頻度を高めることで、振り返りの優先順位が高まり、習慣化することができます。仮説を立てて、振り返ることの蓄積で、徐々に明確になってくることがわかりました。たまかつが明確になることで、時間の使い方が変わり、行動が変わります。そのことで周囲との人間関係も変わり、より成果があがりやすい環境ができます。

(2)自己有効感が高まる
毎週コミットできる時間にと言ったら、朝6〜7時が埋まりました。当初、そんな時間に集まるのかと思いましたが、6時スタートでリアルな場に参加することに比べて、家からでも入れるのであれば、案外できるということがわかりました。自分だけで早起きの習慣を身につけることは難しかったですが、今は当たり前になっていてやればできる事実が自己有効感を高めてくれています。

(3)他者理解に非常に有効
顧客に意味のある変化を提供するために顧客の立場に立てと言われて来ましたが、有効な方法はありませんでした。ありえる楽考では、一人ひとりが何に関心を持ち、どのように注目し、感じ、考え、判断しているのかのレベルで知ることができます。表面的に行動だけを追っているのではわからなかった、その人がなぜ、そのような行動をしているのか理解できます。思考のプロセスを理解しあえると信頼関係も醸成されてきます。
(4)パーソナルカミオカンデになる
現時点で、60名ほどの方の世界観、つまり、何に注目し、どのようなことを感じ、考え、判断し、行動しているのか毎日垣間見ています。この一次情報ほど、今の世界がどうなっているかを知る方法はないのではないかと感じています。『ウェブ時代をゆく』で梅田望夫氏は、有力な識者のBlogを読んでまわることをパーソナルカミオカンデと表現したが、文章として結実される前の感情に触れられることは、「マーケティング=自分を知り、他者を知る」の手段としてスゴイ方法だと感じています。

(5)人は変われる
毎週少しずつだけれども実際に変化しているという事実が人は変われるという勇気を与えてくれます。傍から見たら順調そうな人も、常に葛藤し、迷っています。誰もが、昨日よりも今日、今日よりも明日よくしようと挑戦し、失敗し、失敗から学んで成長しているという事実から、別に完璧じゃなくていいんだと勇気をもらえています。

(6)録画を自分で見返すことによるフィードバック効果
実際に話している自分を見ることに非常にインパクトがあります。見る前は殆どの人が嫌がります。それが、慣れるにつれて、自分と向き合うことによるフィードバックが効いて学習が起きるメリットの方が大きいことを受け入れるようになります。そうなると気づきの頻度が高まり、着実に変化し成長します。

今後やりたいことは、次の3つです。

(1)「たまかつ」のプロデュース
ふつうの人がすごいことができる事例を増やしたいです。何か成し遂げるような人は自分とは違うすごい人なんだという思い込みをなくします。
参加者一人ひとりの「たまかつ」が前に進むような応援をしてゆきたいです。具体的には、ZOOMを使ったメンバーの講座をプロモーションするポータルサイトをつくりたいです。
顧客コミュニティをつくり、顧客の応援をすることで経済的に持続可能になれば、人は価値創造により多くの時間と情熱を注げるようになる。そういう生き方をしている人を増やしたいです。

(2)ZOOMによる働き方の刷新。特に営業。
足繁く通うからではなく、一緒に「価値=意味のある変化」をつくり出すためのパートナーにしたいです。移動時間を減らして、接触頻度を高めて、距離に関係なく、必要なタイミングで必要な人とコラボできることでイノベーションが起きる確率が高まると「価値をつくる出す働き方」にシフトする人が増えるのではないでしょうか。ただ、そういう話をすると「わかるけれど、うちの会社ではまだ無理」と言われます。これがあたり前の世の中にしたいです。

(3)マッチング
「たまかつ」が似ていて、苦手なことを補完しあい、自分が得意なことを活かしあえるチームになるマッチングをしたいです。カルロス・ゴーンが日産に来た時、一人ではなく自分の苦手領域を無効化し強みを活かしあえるチームメンバーと一緒にやってきました。サッカー監督もフォワード、ミッドフィルダー、バックス、栄養、トレーニングなどの専門家とチームを組んで動いています。どんな大組織になっても、人は自分の周囲の数名の人とほとんどの仕事をしていて強い影響を受けます。ソニーの井深さんと盛田さん、ホンダの本田宗一郎と藤沢武夫のようなマッチングができる場にしたいです。





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