実践例 ピア・メンタリングを行ってみて

ジャンル
主宰者 春日未歩子(株式会社グリーンドック 保健農園ホテルフフ山梨 プログラムディレクター 精神保健福祉士)
参考URL 保健農園ホテルフフ山梨 http://fufuyamanashi.jp/
森とこころの研究所  https://m.facebook.com/forest.and.mind/

ピア・メンタリングとは、共通のテーマを持つ6~8人が定期的に集まり、お互いに関心事や相談事を共有し、一緒に考えていきます。対等な関係の中で、関係性が深まり、自己開示の量が増えていくにつれて、有益な話し合いが進んでいく、という方法です。

ピア・メンタリングは、本来であれば、1週間に2~3時間、実際に会って行うものですが、日程と場所が固定されると参加のハードルが高く、開催するのが難しいと感じました。それをZoomでやってみてはどうかとアイデアをいただき、まずはリアルとどんな風に違う感じになるのか、やってみることにしました。

参加者は、勉強会で繋がっていた人に、「ピア・メンタリングをやってみない?」と声かけして集まってくれた、姫路、大阪、東京、山梨、茨城の5名。

遠隔地にいる人と一緒にできるのも、Zoomならではだと思います。

頻度は、毎週〜2週に1回、時間は90分で行いました。

最初の1回目は自己紹介とピア・メンタリングに期待すること、対話をするときのルールについて話しました。

2回目以降は、近況報告をした後、話をしたい人から気になっていることなどを話し、他のメンバーが感じたことを伝えていくかたちで進んでいきます。

リーダーがいて、誰かが話の流れをコントロールするのではなく、自然発生的に対話を続けていきます。

毎回最後は今日の感想を伝えて終わります。その日に何か結論を導いたりはしません。

参加のモチベーションを高める工夫としては、本来のピア・メンタリングでは、12回分の日程を最初に決めるのですが、今回は「調整さん」(スケジュール調整ツールhttps://chouseisan.com/)でみんなが集まれる日を2週間分くらいずつで設定し、微調整していきました。

12回続けられるかどうか不安でしたが、やろうと提案した私は場を守る役割を担い、Facebookでグループの日付に合わせて声かけをしたり、仕事の都合や体調不良などで参加できないなどのメッセージが入ったときには、気遣う声かけをしたり、Zoomで会っていない時でも安全な場が続いているようにしました。

実際にやってみて気づいた点は、人数が少ないこともありますが、画面上でも相手の様子がよくわかり、対話を重ねていくごとに関係が深まる感じがしました。

常に画面正面にメンバー全員の顔が見られるというのも、リアルのグループではない体験で、聴いている時にも、それぞれがどのような気持ちなのかを察しやすい感じがしました。またフラットな関係性は、空気を読む必要がなく、Zoomの方が築きやすいと思いました。

さらに、ピア・メンタリングの途中で実際に会う機会があったメンバーによると、初めて会うのにすでに関係ができている感じや、画面上の人がリアルに出現ときのうれしさが大きいのも特徴的だということでした。

以下は、参加したメンバーからの感想です。

「Aさんの◯◯という体験と、Bさんの□□という体験って、抽象度を上げたら一緒ですよね、という感じの話が多かった気がして、普段考える以上に幅を広げながら物事を考えていたかも」

「自分の意見を言いっぱなしにすることや、発言しない自由がある。その場で対話を重ねるというのを楽しむ感覚が強かったです」

「ほとんど初めてに近い方だからこそ、もっと相手のことを知りたいという欲求がナチュラルに生まれて、かつ、準備しないことで自然と具体論(生活レベルの話)が聴けて、これまたナチュラルに話を深堀りしつつ質問しつつ、空間をみんなでつくれていたことがとても心地よかったです」

「言葉を多用して生活するサラリーマンから、暗黙知が命の馬を扱う牧場仕事に変化したので、一日の中で言葉の数が圧倒的に減りました。そういった日常からピア・メンタリングに参加すると、うまく喋れない&聴けない、という感覚を持ったのを覚えています。会話の間のようなものがつかみにくくなっていました。なので、自分のペースで喋らずに聴く自由があったのは、とてもありがたかったです。また仕事上の悩みなどは、牧場仕事の僕でも、オフィスワークのみなさんでも通ずるところが多いな、と強く感じたのも非常に印象的でした」

メンバーの感想から感じたことは、対等な場だからこそ純粋に相手への興味・関心が高まり関係を築けたこと、話す・聴くを自由にしたことで安心感が得られたこと、環境が違っていても質問をしていく中で自分の体験との共通点が見えお互いに気づきを深めていくことができた、という経験が得られたのではないかと思います。

今後のZoomの活用についてですが、私は精神科医療の現場から企業でのメンタルヘルスに関わってきて25年、日本のうつ病になる人の多さ、過労死・過労自殺という異常事態を深刻に捉えており、予防的な取り組みをしていきたいと考えています。

組織的な取り組みも必要ですが、労働者自身が目の前のことを精一杯こなすことに集中しすぎて、自分の疲れがわからなくなっている人がいかに多いか。メンタルヘルス疾患に陥らないためには、自分のこころとからだの状態に気づけるようになることが重要だと常々お伝えしています。

今回、ピア・メンタリングでなんでも話せる場を作れた経験から、働く人、特に若い人にこういう場を提供し、仕事やプライベートの話をしながら、心身の状態にも気づけるようにお互いの繋がりをつくれたらと思っています。




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