実践例 町歩きにZoomが加わると、リアルの新しい世界が見える-Zoom町歩きでの発見-

ジャンル
主宰者 筒井洋一(元京都精華大学教授、教育・人材育成コンサルタント)
参考URL Narative 未来の学びを語る夏 https://peraichi.com/landing_pages/view/narative
運営スタッフのブログ https://mlog.link-cd.jp/20170829-454.html

これからの社会では多かれ少なかれ、ICTを活用したオンラインコミュニケーションは不可欠です。では、実際にリアルの日常的なコミュニケーションにどのようにオンラインが関わるかを想像しながら、町歩きにZoomを導入しました。これは恐らく世界初めての体験です。以下に具体的に紹介します。

去る8月19日に、奈良市内を会場にしたNarative(歴史とICTをつなぎながら物語を編むワークショップ)で、午前中は市内の新薬師寺と志賀直哉旧邸をめぐり奈良女子大学附属学校までの2時間程度の町歩きをしました。

集合場所の奈良駅前には、出発40分前から次々参加者が集まってきました。

参加者には、事前にスマートフォン(以下スマホと略)にZoomアプリをインストールしてもらうことをお願いした上で、参加者40名中30名ほどがZoom初心者であるため、使い慣れている6、7名が順番に教えていきました。また、ハウリングを起こさないようにイヤホンで音声を聞くようにしました。やがて全員のZoom設定が完了し、いよいよ町歩きに出発しました。

私がZoomホスト(Zoomミーティング主催者のこと)を立ち上げているノートパソコンを持ち、解説者である高校教師がそこに接続された外付けマイクとカメラを持って解説をおこないました。歩いていると予想通り隊列が長くなり、前後の距離が4、50メートル離れました。これだけ離れると後列の参加者は前にいる解説者の解説は聞こえないのですが、Zoomのおかげで後にいてもしっかり聞こえました。

Zoomには町歩き参加者以外にも、遠隔地(九州、関東、仙台、名古屋など)からのオンライン参加者も入っていました。事前に一人の参加者にオンラインファシリテーターとしてオンライン参加者のまとめ役をお願いしていたので、ファシリテーターはオンライン側を、解説者が町歩き側を見ながら、二人が一体になって進行していきました。こうした連携があったからこそどこかでトラブルが起こってもすぐに対応できました。

ZoomホストのノートパソコンはWiMAXと4G電波双方でつないでいましたが、電波状態が悪い場所で何度も接続が切れました。けれども、Zoomの優れたところは、たとえホストが落ちても、事前にZoomの設定で「共同ホスト」(ホストではないが、ホストに近い役割を担うことができる)にしていたファシリテーターに自動的にホスト権限が移るので、他のメンバーはほとんどトラブルを意識することはありません。

今回Zoom町歩きを試してみて、オンライン参加者だからこそわかる発見がありました。普通の町歩きでは、自分の目で周りを見ています。しかし、オンライン参加者側からは、実際に町歩きをする運営スタッフのカメラがあちこちを映し出しているのが見えます。

普通、オンラインよりも、リアルで体験する方が現地のことがよくわかるといわれますが、Zoom町歩きでは、オンラインの方が複眼的に見えるのです。これは実践したからこそわかったことですが、このことはオンラインとリアルの関係を根本的に変えることになりました。

Zoom開発者は、2016年1月にブレイクアウトセッション機能を追加したことで、オンラインコミュニケーションの新しい可能性を安価に提供することに成功しました。しかしながら、かれらはオンラインコミュニケーションのイノベーションを起こしても、リアルとの関係には無関心でした。

それに対して、Zoom町歩きは、リアル側からオンラインを導入した点で開発者の意図とは異なっていますが、オンライン・リアル双方の融合を一歩前に進めました。今後われわれは更にオンラインを活用できる実践を広げていくことができるでしょう。その点で、Zoom町歩きは、町歩きにとどまらず、授業や仕事でも多人数が移動するときには非常に汎用性のある方法です。みなさんもZoom町歩きをやってみませんか。




記事のカテゴリ一覧

最近の記事

ページ上部へ戻る