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オンラインフェス2017を終えて

2017年1月8日、世界初のオンラインフェス2017を実施しました。

オンラインフェス2017

朝9時から夜9時までの間に19個のオンラインワークショップが実施され、最後は、オンライン懇親会で盛り上がりました。

総勢198名の方が申し込んでくださいました。どのワークショップもにぎわっていて、まさに思い描いていたようなフェスが実現したことに感動しました。

私は、普段から、「ちょっとした思いつきが形になっていくような創造的な社会であってほしい」と思っているのですが、オンラインフェス2017は、まさにそれが実現した一つの例となったように感じています。今回の体験から、多くの学びを収穫することができました。

一緒にオンラインフェスを創って下さった出展者のみなさん、参加者のみなさん、企画運営のみなさんに心から感謝しています。

みなさんから届く「場への与贈」のコメントを拝見したり、実行委員会で対話をしたりする中で、「ちょっとした思いつきが形になっていくような創造的な社会」とは、どのようにすれば実現するのかについて、様々な気づきがありましたので、まとめてみました。

パッションで動き、起こったことから学ぶ

新しく何かを始めるときには、先行事例がないのでリスクを見積もることが難しくなります。やってみないと分からないことがたくさんあるのです。

様々なテストなどを行い、リスクを減らすことは重要ですが、それでも、新しい試みの場合、やってみないと分からないことがたくさん残ります。

ですから、「企画者がお客様に対して質を保証する」というマインドでやろうとすると、「それは、無理だなぁ―」となって、一歩を踏み出すことが難しくなり、思いつきは、実現されずに終わってしまいます。

一方で、成功も、失敗も、すべて学びの要素として共有して、企画運営者も、出展者も、参加者も、ともに学んでいくというマインドを共有していくと、心が軽くなって一歩を踏み出しやすくなります。思いついたことが形になっていくためには、このようなマインドを共有することがとても重要なのです。

はじめてやるときには、想定外の様々なことが起こります。

でも、それは、ネガティブなものではなく、共有して、振り返って、学ぶことによって、貴重な学びの要素として収穫できるようになります。

想定外のものが多ければ多いほど、多くの学びを収穫することができるのです。

この視点に立つと、「失敗」というものは存在しなくなり、「計画→実施→結果→振り返り」の学習サイクルを回しながら、知見がどんどん溜まっていくことになります。

自分の周りに「助け合いの場」が存在していることが大事

何かをやろうとして手を上げたときに、それに賛同して集まってきてくれる方がいてこそ、創造のサイクルが回り始めます。

一方で、手を上げたのに、誰も集まってこないという体験が続くと、手を上げる勇気が失われていきます。

思いついたことを形にするのは、自分1人では無理です。周りに助け合いの場が存在していて、創造の渦が回る環境があってこそ実現するのだと思います。

だからこそ、普段から、自分の周りを助けていく、応援していくことが大事です。それによって、自分の周りに応援し合う場が存在するようになったときに、自分の思いつきや、周りの人たちの思いつきが実現していくようになるのだと思います。

創造的な社会とは、自分自身も、周りの人も、大切にして、いっしょに創造の渦を繰り返し回しながら、少しずつ実現していくものだと思います。

今回は、これまでに育んできた様々な縁が、オンラインフェス2017の実施を支えて下さり、実現することができました。そのことに、本当に感謝の気持ちがあります。改めて、応援する側の役割も頑張っていこうと思っています。

創発モードを作動させる仕掛け

私は、あらかじめ計画して、計画通りに実施していくようなやり方と、モヤモヤを抱えながら直感的に行動し、あとから振り返って言語化していくようなやり方は、生きる上で必要な2つのモードなのではないかと考えています。前者を最適化モード、後者を創発モードと勝手に呼んでいます。

「ちょっとした思いつきが形になっていくような創造的な社会であってほしい」という願いは、言い換えれば、「最適化モードに傾きすぎている社会や個人に創発モードを発動させて、よりバランスの取れた在り方へとシフトさせたい」ということになります。

最適化モードに傾きすぎると、教える側と教わる側、生産者と消費者、支援者と被支援者・・・のような分断が固定化されやすくなり、個人の生き方が立場の枠組みの中に押し込められ、生命の自由な躍動が抑えられて息苦しくなってきます。

「キチンとしていないと誰かから非難される」というマインドが場に満ちるようになり、リスクを冒すことが難しくなっていきます。

私は、現在の日本社会は、最適化モードが優位になっていて、創発モードが極端に抑えられてしまっていると感じています。そのアンバランスが、様々な苦しみを生み出しているのではないかと考えています。

最適化モードで動くことが常識となっている中で、創発モード優位の場を創るためには工夫が必要です。

今回のオンラインフェスでは、創発モード優位の場を創るための工夫の一つとして、参加費を「場への与贈(投げ銭)」という形にしました。

参加費を前払いにして定価をつけると、参加者は、「まだどんなものだか分からないものに対して、その定価が妥当な価値を持つのか」という消費者としての最適化モードが発動しやすくなります。

また、フル参加できない方の場合は、「この定価はフル参加できる人を想定してつけられている金額のはずだから、中途半端にしか参加できない自分は損をする」という思考が動くのではないかと思います。その結果、多様な参加の仕方が抑えられる結果になります。

オンラインフェス2017は、様々な関わりを許容する参加型の学びの場にしたいと考えていました。参加型で共に作る学び場では、各自が受け取る価値は、参加の仕方によって多様になりますし、価値の多くは、参加者が自ら生み出すものになるため、あらかじめ予想することが不可能です。どのような定価を設定したとしても、それが一定の金額である以上、それぞれの参加者の受け取った価値と金額とを調和させることは、原理的に不可能なのです。

一方、後から各自が、好きな金額を払う「場への与贈(投げ銭)」という仕組みにすると、「よく分からないけど、面白そうだから参加してみよう」という態度で参加者が参加できるようになります。また、自分が受け取ったものに見合った金額を自分で決められるのであれば、中途半端な参加の仕方もしやすくなります。

これは、育児中の方、病気療養中の方、介護中の方・・など、今まで、このような学びの場に参加することが難しかった方へ道を開くことになります。

また、参加の度合いによって支払う金額を変えられるので、それぞれが受け取った価値と調和しやすくなります。

さらに、定価を設定しないことで、企画者も、出展者も、参加者も、「面白くすること、楽しむこと」に集中しやすくなり、創発モードが発動しやすくなります。

一緒に実験し、起こったことから学んでいこうという創発モードと、場への与贈(投げ銭)という仕組みは、とても相性がよいのです。

ビジネスモデルから生き様モデルへのシフト

実験的な取り組みに対する考え方には、いろいろなものがあります。

定収入を持つ人が、余暇で実験的な取り組みをしていくプロボノ的な取り組みは、様々なところで行われており、実験的な取り組みをするために一つの方法論として確立しています。

参加費を無料にすると、失敗しても返金する必要がないため、リスクを取ったチャレンジをしやすくなるというメリットがあります。一方で、私のように定収入を持たないフリーランスの場合は、実験的な取り組みに本気で関わるほど、収入が減ってしまうという悩みを抱えることになります。

私も2012年から2015年にかけて、本業で収益を確保しつつ、ボランティアで社会実験をするという試みをしていました。その中で、社会実験にコミットすればするほど、収入が減っていき、生活に対する不安が生まれてくるというジレンマを抱えるようになりました。

当時は、本業に片足を乗せ、社会実験にもう一つの足を乗せていました。重心は本業に置き、もう一方の浮かした足で、いろいろ試して回るような感覚でした。

しかし、機械論的世界観に沿って最適化モードを発動させている本業と、生命論的パラダイムに沿って創発モードを発動させる実験とを続けているうちに、両者のパラダイムが真逆であることから、自分自身が二つに引き裂かれるような感覚になってきました。そして、2016年に、本業に置いていた重心を、社会実験のほうに移しました。それは、安定収入を失う決断であり、清水の舞台から飛び降りるような決断でした。

その結果、自分の人生そのものが実験の場となり、人生を使った実験をしながら生きていく道を模索することとなりました。

それは、過去の経験を元に作り上げたビジネスモデルを手放し、先の読めない未来に対して、自分の身体から上がってくる感覚や、生命の躍動を頼りに進むべき方向を決めて動いていく「生き様モデル」へのシフトでした。

清水の舞台から飛び込んでみると、舞台の上で、浮かした片足で実験していたころとは、明らかに異なる深い学びが人生で起こることから得られるようになりました。

今まで身につけていた成功法則を手放して飛び込んだからこそ、それと引き替えに未来を嗅ぎ分ける嗅覚が立ち上がるのだということが、大きな気づきでした。

今では、不確定性を不安要素として取り除くのではなく、創造の源として味方につけて、ちいさなゆらぎを増幅して創造の渦を回していけば生きていけるのだという確信が生まれつつあります。

今回のオンラインフェス2017は、私と同様に、自分の人生を実験の場にしている人たちが中心になり、ちいさなつぶやきを増幅し、生きるために創造の渦を巻き起こした結果、実現に至りました。

自分の人生を実験の場にしているため、「実験的な取り組みだからボランティアで行う」という取り組みは不可能で、「実験的な取り組みの価値を提供して、お金をいただく」という新しい形を提案することになりました。

みなさんからの「場への与贈」は、私たちが、更なる実験の場を創造するための血液として使わせていただきながら、オンラインフェスで生まれた場を、創造的にしていくことに生かしていきたいと思います。

そのような意味では、オンラインフェスで出会い、繋がり、語り合う中で、これから生まれてくる創造的な取り組みのきっかけ作りこそが、私たちが提供する価値の中で、最も大きなものなのではないかと思います。

みなさんが、面白いものを思い付き、一歩踏み出したとき、オンラインフェスでの繋がりをたどって駆けつけ、それを応援し、一緒に創造の渦を回していきます。

ニーズを満たし合う関係を作り、与贈主体の活きを最大化する

ここまで創造が起こるためにどのようなことが必要なのかについて書いてきましたが、私が様々な試行錯誤をした末に一番しっくり来ているのは、非暴力コミュニケーションの意味での「ニーズ」を、企画者、出展者、参加者の間で、お互いに満たし合う関係を構築するということです。

ニーズというのは、感情の奥にある「大切にしたい何か」です。ニーズが満たされたときに「快」、ニーズが満たされなかったときに「不快」という感情が起こると考え、感情をヒントにして、自分や他人のニーズを探り、お互いにニーズを満たし合う関係を構築していくのが非暴力コミュニケーション(NVC)です。

非暴力コミュニケーションと出会ってから、お金のやりとりだけを分離するのではなく、お金もコミュニケーションや自己表現の一つであるのだと考え、お互いのニーズが満たされることを目指して考えていくことで、創造が生まれやすくなるのだということに気づきました。

ニーズが満たされているときには、相手に与えることができるようになり、与えることで自分の「活き」が引き出されていくので、場に創造的な循環が生まれやすくなるのです。

「場への与贈(投げ銭)」でお金をいただくようになると、一定の割合で、「応援のお金」や「コミットメントのお金」というものが含まれることに気づきます。

かつて、クラウドファンディングを支援したときに、お金を払うだけじゃなく、もっと活動にコミットしたいというニーズがあることに気づき、主催者と応援者とを結ぶオンラインコミュニティを創り、アクションプランを作って共に問題解決に向かって動き出したことがあります。

出現しつつあるクラウドファンディングの新しい価値

この体験は、お金だけに注目するのではなく、ニーズに注目することで創造の渦が回る可能性が生まれることに気づくきっかけになりました。

今回のオンラインフェス2017は、最初の試みで、様々な部分が、まだまら荒削りな状態です。ニーズを満たし合う関係を作っていく理想を実現するためには、修正や変更を加えていく必要があります。

企画者、出展者、参加者が、それぞれの声に耳を傾けながら、お互いのニーズに着目して関係性を紡いでいくことで、一歩一歩、よい形になっていくのではないかと思っています。

また、参加者から出展者になる人が出てきたり、様々なテーマのオンラインフェスを企画する人たちが現れたり、様々な循環が生まれていけばと思っています。

今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

 

 

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