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「氷見市ハイブリッド・ワールドカフェ」レポート

Zoom革命の田原真人です。

11月27日に富山県の氷見市役所とオンラインの参加者とを繋ぎ、「氷見市ハイブリッド・ワールドカフェ」を行いました。

この試みに至る背景と、ここではじめて行った新しいチャレンジ、実際にやってみて感じた課題などを報告することで、次のチャレンジに繋げていきたいと思います。

IAF台湾カンファレンスから始まった物語

国際ファシリテーターズ協会(IAF)は、ファシリテーション並びにファシリテータ-を活用し、組織の風土改革など様々な分野での取り組み事例に対し、表彰を行っています。2015年に、ファシリテーションによって市政を変える取り組みをしている氷見市が、ゴールド賞を獲得しました。

今年の9月に台湾で実施されたカンファレンスで表彰式があり、氷見市の行政職員である谷内博史さんがいらっしゃいました。私は、そのカンファレンスに「ハイブリッドセッション」の分科会を共同ホストとして運営しており、谷内さんもセッションに参加して下さいました。

台湾に集まったファシリテーターの中で、氷見市の取り組みが話題になり、見学ツアーが実施されることになりました。その際、氷見市に行けないメンバーをZoomで繋いで、氷見市の様子を学べる機会を作りたいということで、Zoomを使ったイベントを企画することになりました。

氷見市長がハイブリッド・ワールドカフェを体験

当初は、市役所職員の方と、オンライン参加のファシリテーターとの化学反応が起こることを意図して企画を立てていたのですが、氷見市役所の参加者が、本川市長、見学ツアーのファシリテーターの方を含め6名ということで、ワールドカフェの構成を変更することにしました。

氷見市は、開かれた市政ということが大きな特徴なので、本川市長にZoomのオンラインワールドカフェを体験していただくことにしました。

本川市長が、Zoomを使ったオンラインワールドカフェを体験することで、様々なアイディアが生まれるのではないか。オンラインの参加者にとっては、グループ対話に市長が加わることで特別の体験になるのではないか。そんなことを考えたのです。

インスピレーショントークがスタート

最初に、ファシリテーターの谷内博史さんのほうから主旨の説明がありました。

IAFのファシリテーションインパクトアワードで、氷見市の取り組みがゴールド賞をいただきました。台湾で行われた大会に、市長の代理として我々が行ってきました。そのときに、氷見市の話を各国の方にしたところ、行政が市民と対話して進めているということについて、とても反響がありました。

これから、氷見市の取り組みが広がって、いろいろな自治体で市民と行政の対話が始まればいいなということで、今日は、みなさんと、どのようにしたらそれが可能になるのか探っていけたらいいなと思っています。

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続いて、Zoom側のファシリテーターである田原が、挨拶をしました。

私は、反転授業の研究という4200人のオンラインコミュニティを運営しています。そこでは、教室をトップダウンからボトムアップに変えていこう。学習者が中心の学びを作っていこうとしていて、教師の役割が教える人からファシリテーターになるという学びのパラダイムシフトに取り組んでいます。

そのパラダイムシフトは、学校、組織、社会において同じ構造を持っていると思っています。台湾で氷見市のお話をうかがって、まさにパラダイムシフトに繋がる試みが行われているのだと思い、感動しました。

オンラインでつなぐことで、氷見市のような先進的な取り組みが飛び火していくような動きを作れないかということを、今日、参加している皆さんと一緒に考えられたらと思っています。

その後、リアルも、オンラインも、グループに分かれてチェックインをし、「どんな想いで参加したのか」というテーマで話し合いました。

続いて、本川市長のインスピレーショントークが始まりました。

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続いて、氷見市の行政職員で、ファシリテーターの谷内博史さんのトーク。

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さらに、氷見市の行政職員で、防災を担当している遠藤さんのトーク。

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その後、谷内さんから、「田原さんにファシリテーターをお願いしたいと思います」という投げかけがあり、Zoom側の田原がメインファシリテーターとしてワールドカフェが進行することになりました。

ハイブリッド・ワールドカフェ

 
氷見市会場には、市長を含めて5名、オンライン側からは23名が参加していましたので、氷見市会場は1グループ、オンライン会場は5グループに分け、ワールドカフェを3ラウンド行いました。

第1ラウンドの問い あなたの住む地域で、行政と市民との対話が可能になったとしたら、あなたは、どのようなことについて対話したいですか?

 
15分のグループ対話の後、メインルームで、各グループで出てきた話を共有しました。その後、メンバーをシャッフルしました。本川市長には、応接室へ移動していただき、第2ラウンドからは、Zoomでのグループ対話へ参加していただくことになりました。

第2ラウンドの問い (第1ラウンドで考えた)そういう未来を実現するためには、ファシリテーターはどんな役割を果たせると思いますか?

15分のグループ対話の後、全体で共有しました。まず、氷見会場でどのような話が出てきていたのかを、谷内さんに共有してもらいました。

私たちのグループでは、どのようなまちや市にしたいのだろうか。市民としてどうありたいのだろうか。ということが本当に対話したいテーマなのではないか?というところに収束していきました。

「道路をつくってほしいです。予算でできます/できません」というやりとりは、議会も含めた行政と市民の対話としては基本的でファンクショナルな対話かもしれませんが、それでは単なる応答関係でしかありません。我々に本当に必要な対話は、自分たちのまちはどのようにありたいのだろうか、それなら、みんなの税金はこういう風に使った方が良い、というような話が究極的にできればいい、ということが第1ラウンドの結論でした。
第2ラウンドでは、そのためにファシリテーターが果たす役割は何だろうということでした。盛り上がったのは、ポケモンGOならぬ、ファシリテーションGOとでもいいますか。ファシリテーションを難しくせずにゲーミフィケートして、「なんちゃってファシリテーター」とでもいうべき存在がたくさんいるまちの方がいいんじゃないか、という話でした。
氷見市では、いろんな市政への参加の場があるんですが、楽しく参加した経験のある人は、こんな場の方がいいな、こんな会議の方がいいなということを思って、また参加してくれるし、その経験がある人がファシリテーターをやってみよう、となってくれるのでは、という意見が出ました。

その後、オンライン側からも各グループの声を共有してもらい、本川市長も感じていることを話してくださり、全体で共有する時間がありました。
 
再び、メンバーをシャッフルし、第3ラウンドへ。本川市長には、引き続き、Zoomで参加していただきました。

第3ラウンドの問い あなたの暮す地域、コミュニティであなたがはじめてみたいことは何ですか?

20分間のグループ対話の後、全体で共有しました。

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まず、氷見会場の谷内さんから、氷見での対話を共有してもらいました。

ファシリテータティブな人を育てたいという話が出ました。対話の場があるときに、ファシリテーションのことを分かっている人がいたり、子どもがファシリテーションのことを分かっていたりすると将来が明るいねと話していました。

学校の授業の中でファシリテーションが学べれば良いのですが、学校の授業が手一杯なので、部活とか、ピザを焼くお楽しみ会とか、日常の活動の中に振り返りをして、ファシリテーションを学ぶ機会があれば有効なのではないかという話になりました。

たとえば、チームでピザを焼き終わった後に、気持ちの盛り上がりがどのように変化したのかを振り返って、このときは、どうして盛り上がったのだろうかと振り返ったりすると、自然な形でファシリテーションを学べたり、サーバントリーダーシップについて学べたりするのではないかと思いました。

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オンライン側も各チームに聞いていきました。

小瀬さん:大学の在り方が変わっていくのではないか。学生さんの中でもみんながうまく授業を受けられるわけではなく、授業内で発信できるわけではないので、地域の人がボランティアで入ってきて学びの場を広げていくことを追求されている。これを大学に限定するのではなく、京都の町屋などを使って市民誰もが学び合える場を創りたいという話がでました。また、氷見市では、市民が入ってきて市政を行うという体制を作りたい。そのために、市政へのインターンシップという仕組を作れば、市民や企業の知見が市政に入ってきて市政が良くなっていくのではないかという話が出ました。市役所に専門知識を持っている人が必ずしもいるとは限らないので、専門知識を持っている人が市政に入ってきてくれるといいなという話が出ました。また、大人の学芸会というものをやっていて、真ん中で楽しいことをやっていると、人が集まってきて繋がりができて、大きなイベントになっていくという話をしました。最後に、やりたいことをやって収入を得ていくのは難しいという話から、企業と市政との壁を越えて一定の報酬を得ながら専門知識を生かして関わっていくようなPathもあるし、そこにNPOなどが関わって繋いでいく方法もあるという話にもなりました。

木下さん:地域で始めるということで、マンションの組合に行ってないなとか、町内会はどうかなとか、人間関係の問題もあって取り組みが難しいなというところから始まりました。事例共有ということで、地域通貨の話をしました。1990年代末に放映されたNHKの「エンデの遺言」という番組で取り上げたことから、全国で始まっています。私が関わっているレインボーリングでは、自分ができることと、やってほしいことを明らかにして、やってもらったらお礼を払うという仕組みです。地域通貨やギフト経済をやっていくときにファシリテーター役がいるといいなという話をしました。また、イベントが大事だという話もでました。大きなイベントだけじゃなく家族旅行や家族の記念日のような家族単位のイベントも大事だよねという話をしました。イベントまでの企画をファシリテーター的な視点で持っていくといいかなという話になり、やったことをZoomで持ち寄って話すといいよねという意見も出ました。また、名古屋市にはふらっとCaféという場所があり、道行く人とふらっと会話できるという話から、ペチャクチャカフェという全世界的にやっている試みもあるという話に繋がりました。地域の人同士を繋げるキーマンを育てると地域が活性化するのかなという話もありました。

荒金さん:問いは、地域で始めることということだったのですが、私の関心は地域を越えて繋がるというところにあったので、その話をしていました。問題を解決する、ソリューションを見いだすというところは、地域を越えるとか、セクターを越えることによって可能性が広がっていく。私は、未来のステークホルダーという言葉が大好きなのですが、今日のこの場も、全く知らないいろいろな人たちがグループになって話をすることで、意外な共通点があったり、インスパイアされたり、何かが生まれそうな可能性を感じたりしていると思います。そういうときは、地域に密着しているが故の膠着状態、関係性が密であるが故の課題というのもあるので、それを越えるということは必要だなと感じています。一方で、現場を変えるとか、私たちの課題を解決するときには、当事者意識というものが重要になってくるので、主体性、どうやってモチベーションを上げるかというのも大事になってくるので、2つの観点がありますよねという話になりました。寺西さんと福島さんに補足していただきたいです。

寺西さん:私は石川県の地方に住んでいるので、問題解決をしていくときに、考えてもらう多様な立場の人とか、より最適な案を考えられる人とかを、地方だけで集めるのはすごく難しいので、何をしたら良いのかを考えるときには、地域を越えてインターネットなども使ったりして、対話の場を創った方が解決策が出てきそうだなと思いました。とはいえ、当事者意識がないと地域の人たちに実行してもらうことは難しいので、地域を越えた部分と、地域の中の対話がそれぞれ必要で、行ったり来たりするのがよいのではないかと思います。地域の対話で問題点の論点を明確にして、解決策を見つけるときには地域を越えて対話をしていって、出てきた案をうちの地域でやるにはどうしたらいいのだろうというようになっていくとよいのかと思いました。

福島さん:日本はお祭り文化だと思います。無理矢理引っ張り込むんじゃなくて、面白いことをやっていると、そこにチャンネルがあった人が来るのだと思います。お祭りの出し物が、いつも神輿ばかりだとダメで、フリーマーケットがあったり、射的があったり、いろんなチャンネルがあることでヒットする層が変わってくるので、そういう仕掛けをして、そこにファシリテーターがいて、場が生まれるようなことをすれば、いろんなモチベーションにフックがかかるんじゃないかというのが、僕の持論です。

延与さん:まず、議員研修っていいよねという話がありました。地域の関わりで、「みなさん、議員さんと関わりありますか?」という問いかけがあり、私自身は、最近あるのですが、みなさんは関わりがないということでした。私自身も、議員さんと関わりができたのは、仕事を辞めてからで、仕事をしていると難しいよねと話していました。先ほど、市長からもサラリーマンに届かないという話がありましたけど、それはいつもあるなーということでした。あとは、楽しいことをやっていて、周りを巻き込んでいくのがいいのではないかという話になりました。

田原:メインルームでは、松嶋さん、溝上さんと私の教育系の3人で話をしていました。生徒にファシリテーションを教えて、生徒を地域に出していきたい。教員よりも生徒の方がファシリテーションがうまいという話になりました。教員は、物事をしっかりコントロールしたがる人が多いので、生徒の方が柔軟に場を回してくれるという話が出ていました。予定通りではない偶発性が大事だという話も出ました。安心安全の場になれば、個人個人からモヤモヤとした想いが出てきて、予定通りには進まなくなる。予定はとりあえずあるけど、予定通りじゃないこともあって進んでいくような場の中に学びがあるよねという話になりました。

その後、田原の方から、今回の試みに対して感じていること教えて下さいと問いかけました。

氷見市会場で参加したIAF Japanの理事長である岩城さんからも、感想をいただきました。

今回、いろんなインスピレーションを得て、可能性を感じたのは、場が広がることで、カンバセーショナル・リーダーシップというものが、皆さんが行動していくことに繋がるのだということを強く感じました。印象に残った言葉は、「市民が行政サービスを受ける消費者である」というものでした。大学でも学生が「教育サービスを受ける消費者」になっていることに危機感を感じていました。消費者に代表されることは、不平不満を出すということだったりするんですけども、不平不満を提案に変える力が個人としても、チームとしても必要だと思ったときに、こういう場があることで、不満がネガティブなものではなく、問題提起になり、解決に繋がるということが、このような場だったらできるんじゃないかという希望を抱きました。

Zoomのチャットボックスにも「すごい よかったです この試み!」「素敵な取り組みに参加出来て感謝。」「おおいなる実験ができた」などの感想が上がりました。

本川市長からも、「場を広げていくということが新鮮な試行でした。ヨーロッパやアメリカ、日本の先進地の方達と場所を越えて知見を交換できるという可能性を感じました。」というコメントをいただきました。

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その後、氷見会場のファシリテーター、谷内さんからのコメントがありました。

私たちがいる部屋は、天井もなく壁もないというオープンな部屋なんですね。物理的にもオープンな部屋なんですけど、今日は、ネットワークでもっと外に広がった感覚がありました。当初は、氷見市に来ていただいた岩城さん、片寄さんと、ここでちょっとお話ししようと思っていたことが、Zoomの力を借りながら外と繋がった。この経験が、ものすごくイノベーティブなことを起こしていくための大いなる実験だったなと感じました。テーマとしては、ファシリテーションが実現した地域でどんなことができるか、どんなことをしたいですかということを、今日のワールドカフェで聞いたんですが、グローバルな場に繋がりながら、ローカルでどう実践していくのかという両方の振れ幅を、自分の中で感じながら、それぞれが、感じていることを持ち帰っていただいたときに、各地域で、ファシリテーションやZoomの革命がおきていくような気がいたしました。

田原もコメントさせていただきました。

今回は、どこでもやったことがないようなチャレンジだったと思います。この体験をみなさんと共有したことや、各グループで話すことで、いろいろな繋がりが、今日、生まれたと思います。その繋がりから生まれていくものも、きっとあるんだろうなと思っています。個人的には、「エンデの遺言」の制作者である鎌仲ひとみさんと最近繋がって、昨日も動画3本を見て、本を読み、地域通貨をコミュニティ運営にどうやって役立てるのかということを、昨日一日、ずっと考えていたところだったんです。木下さんのところで地域通貨をやっているということで、こういう場によって繋がっていくのだなと思いました。遠く離れた人と出会って、対話して、アイディアが生まれて、実践していくということが起こっていくのではないかと思います。そういう可能性が、すでに私たちの目の前にあって、今までにできなかったことが、どんどんできるようになってきました。その中で、ファシリテーションの役割が、今までに比べて、圧倒的に広がっているのではないかと思います。今回の体験を消費するのではなく、ぜひ、創造に使っていただけたらと思っています。本日は、本当にありがとうございました。

まとめ

今回は、本川市長が、ハイブリッド・ワールドカフェをリアル側とオンライン側の両方で体験したというところに、大きな価値がありました。また、オンライン側での参加者にとっては、画面の向こう側の会場にいた市長が、こちら側に入ってきて対話に参加するというところに衝撃がありました。

急遽、メインファシリテーターをZoom側の田原がつとめることになったのですが、オンライン側が疎外感を感じやすいハイブリッドの場において、メインファシリテーターをオンライン側がつとめるというのは、一つの解決策になるかもしれないと思いました。

様々な可能性が広がる実験でした。

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