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「No More Hibaku~分断を乗り越えるあたらしい試み~」で見えた市民運動の新たな形

12月10日に3+1(サンタスイチ)が主催するイベント「No More Hibaku~分断を乗り越えるあたらしい試み~」を、Zoomを使ったハイブリッドワークショップ型式で実施しました。

なぜ、このイベントをハイブリッドワークショップで行うことにしたのか、ハイブリッドワークショップで行ったことでどのような結果が生まれたのかということについて、レポートしたいと思います。

私がプロジェクトに加わった理由

東日本大震災をきっかけに東北を離れた私にとって、原発の問題や被爆の問題は、自分ごととして常に頭の中にあり続けています。

311後、様々な状況の違い、リスクの受け止め方の違いによって、分断が生まれていくことを目の当たりにし、孤独感を感じました。そこから、分断が生まれるメカニズムを明らかにしたい、それを乗り越える手法について学びたい、と思い、311後の5年間を過ごしてきました。

3+1(サンタスイチ)のメンバーである鎌仲ひとみさんが、ドキュメンタリー映画「小さき声のカノン」を作り、CCCの由佐美加子さんが、自主上映会をオーガナイズし始めたとき、そこに自分ができることがあるのではないかと思い、コミットさせていただくことにしました。

12月10日に実施したイベントでは、自主避難者への支援打ち切り問題がテーマでした。

プロジェクトチームのミーティングで出てきた言葉は、「声を上げても、届かなくなってきている」というものでした。

避難した人、残った人、行政から支援を受けている人、受けていない人・・など、状況が違うことで生まれた溝が、声を分断してしまう状況が見えてきたときに、自分は、このような状況を乗り越えるためにオンラインの対話を学んできたのだから、分断を乗り越えるために力を注ぎたいと思い、渋谷会場に来れない人たちが、Zoomで繋がれるハイブリッドセッションを提案しました。

由佐美加子さんや、横山十祉子さんは、非暴力コミュニケーション(NVC)のワークによって共感で繋がれる場創りを提案しました。

決断の違いによって生まれた溝を乗り越えて、共感で繋がることができる場をイメージした瞬間、胸が熱くなるのを感じ、ワークショップをどうしても成功させたいという想いが生まれました。

参加できない人の声も届けたい

プロジェクトチームのミーティングで、声が届かないと感じることによって無力感が生まれることに気づいたので、声が届く仕組みを作ることにしました。

オンラインの参加申し込みに、

・オンラインで参加
・参加できないが応援メッセージを送る

というチェックボックスを設け、参加できない方の応援メッセージを受け付けられるようにしました。

「私たちは、この問題に関心を持っている。」という意思表示が、イベントに関わっている運営者や、参加者をエンパワーすることになると思ったのです。

多くの方から応援メッセージをいただくことができ、それを、イベントのFBページにリアルタイムでアップしていきました。

●高山敏朗さん
福一原発の事故から、ぼくらは本気で被ばくの問題に向き合うことになりました。自主避難者支援の問題も、子どもたちの甲状腺検診、保養や、地域の線量の問題も、全て根本で繋がっていると思います。NO MORE HIBAKU まさにそんな想いを繋げて、声を繋げて、これ以上の被は?くをしない社会を実現したい。社会に生きるその現実を知った大人の責任として、そんな未来を創りたい。強く強く共感していますし、応援していますし、一緒に取組めればと思っています。今日は参加出来ずにすごく残念です!

●松本梓さん
「決断の違いによってそれまでの関係性が断ち切られたように感じて孤独になった。」
田原さんのこちらの言葉が心に響きました。見えないけれど、社会のあちらこちらで、同じ事が起きているのを知ってるけれど、どうアプローチしていいのか今までで分かりませんでした。
田原さんのオンラインとリアルを繋ぐ取り組みは、すべての分断の解決の糸口になる可能性を秘めてると感じます。
私は生まれは長野ですが、被爆地長崎で育ちました。私の故郷でも、恐らく過去に東北と同じような分断が何度も起き、たくさんの悲しみや孤独、恐怖は今なお、注目される事なく関わる人々の心の中に存在しているのを感じます。
過去の出来事は変えられなくても、テクノロジーが進化した今なら過去とは違う未来へ進むことが出来ると信じてます。
今回の対話に参加できなくて申し訳ないです。素晴らしい取り組みだと思います。応援しています。

●松本一見さん
長崎在住です。ご存知の通り長崎は被爆地で、私もヒバク三世です 。
現在、長崎では「語り部」というヒバクシャが自身の体験を語り、伝えていく活動が新しい局面を迎えようとしています。ヒバクシャが高齢化していく中、新しい世代が引き継いでいくのか、それとも デジタルで行なっていくのか…。しかし、その根底には「伝えていく」という信念があります。
しかし、福島のことは同じヒバクであるにもかかわらず、「この5年で放射能の問題、避難の問題について話すことさえ憚られる空気が醸成」され、声をあげにくい社会となっていることを私も強く感じます。それはどうしてなのでしょうか。

どこに住んでいても、どのような状況の人でも、「No More Hibaku」という想いは同じです。今回はオンラインでどこに住んでいる人でも対話をすることができます。それぞれが抱えている想いを受け入れ合い、これからのことにつながる大きな一歩になることを願っています。

●溝上広樹さん
ハイブリッド型ワークショップ自体は生まれたてですが、すでにノウハウが蓄積されつつあります。ひとを繋ぐ新しい対話の場としての可能性を秘めており、分断を乗り越えるをテーマにした他のワークショップでも活用可能だと考えております。

オンラインでは、フラットな対話を生みやすい環境設定が可能で、ファシリテーターをオンライン側に置くメリットもあります。

本日主催イベントがあるため、残念ながら参加することができませんが、未体験の方にぜひ体験していただきたいです。

●川上 政嗣さん
私は福岡で高校教員をしております。田原さんとオンラインとの出会いは一年半前になります。確か、私が知り合いの大学の先生からアクティブラーニングのオンライン講座を紹介され、参加したのがきっかけでした。当時、田舎の狭い世界に閉じこもっていた私にとって、全国、全世界の素晴らしい先達、仲間から新しい知見を得られることはそれこそ、世界が変わるような衝撃を受けました。オンラインの素晴らしさを痛感し、今でも出会いに、感謝しております。昨年、熊本で地震がありました。その際に被災されたオンライン仲間とオンラインで繋がり、寄り添うようなケアができたのも新鮮な驚きでした。私はこれからもオンラインの可能性を信じ、応援していきます。

●松嶋 渉さん
「分断を乗り越えるため新たな取り組み」
対話の重要性がどんどん広がっていると思います。
渋谷と全国に散らばっている想いを少しでも近づけて対話を促進することで新たな可能性が開けると思います。
本日は京都でハイブリッドワークショップを行うため参加できませんが、ハイブリッドワークショップが開く新たな可能性に期待をしています。

●川向正明さん
『みんなが笑える明るい生活を。』

●ふくしまゆみこさん
母親としてこの先どんな未来が待っていようと、その時自分ができうる最善の決断をしていきます。
そして、全ての人たちがそれぞれの決断を尊重される世界でありたいと願っています。

その上で、命を大切にしたいという小さな一つ一つのチカラが、無力でないことを信じています。

●皆川雅樹さん
人は死ぬために生きているのだと思っています。でも死に方を選ぶことは難しい。でも突然死はやってくるかもしれない。死ぬための生き方って?生き方は死ぬまでの間、考えて実行することは可能だと思います。死を意識して、死と向き合って、生き方を考える。生きることでしか実現できない人と人とのつながり。そのつながりが生きることを意識できるのだろうと。

●野田真世さん
このような催しが行われるのを嬉しく思います。お隣の韓国では、セウォル号の事故に多く人たちが心を寄せ、また政治や政治家の不正に対し行動を起こし、やがては今回の大統領弾劾までつながったと言われています。私たちの住む日本でも福島や核の被害者の方たちと市民一人一人がつながり、連帯し、行動できるような社会を作っていきたいです。ご盛会をお祈りしています。

●三原重央さん
震災支援に行った際に会った福島の友人は、いくら線量が上がっても私たちが避難地域になる事はないだろうっと行った。それでもここで産まれて来る子どももいるし、私はここで住んで行きたいと。

ある友人は、震災をきっかけに移住した。今では関東にも行かないといい、自分で農作物も作りながら暮らしをつくっている。
どちらも自分で選んで決めたのだから、どちらが正解とかはないと私は思いますし、それで本人たちが良いならそれで良いんだと思う。
ただ、どちらのケースでもストレスが一番の大敵だと私は聞いた。

そして例えどちらを選んだとしても、相手との比較をして常に自分の正しさを主張し続けたら辛くなるだけではないだろうかと私は思います。
情報は沢山有り、何が正しくて何が信頼に足るものなのか、私にはっきりした事は言えない。
しかしながら今イベントがお互いを批判し合うというような悲しい分断を乗り越えるためのきっかけになればと思います。
それぞれの人が自分の信じるものをお互いに尊重し合える社会につながるイベントだと思い、応援メッセージとさせていただきます。

●森松明希子さん
貴重なお取組みとご企画に感謝です。

放射線被ばくから免れ健康を享受する権利は誰でも等しく平等に与えられなければならない、人の命と健康にかかわる基本的人権です。

命より大切で守らなければならないものはありません。
子どもたちの未来のためにご一緒に
NO MORE HIBAKU を
訴えていきたいです。

運営チームからも、「応援コメントに励まされる」という声が上がっていました。僕自身も、声が届いているという実感を持つことができ、力が漲ってくる感覚がありました。

イベントレポート

渋谷会場では、3-4人が一組になって座りました。はじめに、ファシリテーターの横山十祉子さんから、「なぜ、あなたはここに居るのか?」という問いが投げかけられ、グループで対話しました。Zoomの参加者も、ブレークアウトルームに分かれて、3-4人で対話しました。

その後、避難の状況について話をうかがうことになりました。

各グループには、「感情のカード」が配布され、床に円形に並べました。これは、話を聞いた後、どんな感情を受け取ったのかを、ぴったりくるカードを選んでグループで話すためのもので、思考を「何が正しいか」へ向けるのではなく、感情へ向けて、共感で繋がれるようにする工夫です。

まず、避難の協同センターの瀬戸大作さんから、福島原発事故の避難者の状況を説明をうかがい、感情カードを選びながら対話をしました。
次に、ひだんれんの武藤類子さんが、福島からの避難者の皆さんの状況をうかがい、再度、感情カードを選びながら対話をしました。
リアルの場も、オンラインの場も、共感の場になっていることが伝わってきました。
渋谷会場への飛び入り参加の方が増え、会場に入りきらなくなったので、休憩を入れてグループを再構成しました。オンライン側も休憩を入れ、オンラインの参加者で雑談をしました。

再開後、ファシリテーターが由佐美加子さんが登場し、次のように語りました。

ここからは、自主避難されている方のストーリーを聴いてもらいます。どういうことを聴いてもらいたいかというと、方法とかコンテンツではなく、その方がどんなことを感じているのかに耳を傾けるというように聴いてもらえたらと思います。

私たちは、この社会で考えるということを訓練されていますが、この場では、どう考えるのかということを置いておいて、どう感じるのかということに耳を傾けようとしていただけたらと思います。

私たちは、共に感じるという機能を人間として持っていると思っています。この場は、あえて、いろんなことを考えたり、意見を言ったりするのではなくて、それを聞いて、あなたは、人としてどんなことを感じますか?ということを、みんなで分かち合えたらいいなと思いました。

各グループには、ニーズカードが配られ、話を聴いた後、自主避難者の方達が満たしたいと思っているもの(ニーズ)を選んで、グループごとに対話するワークを行いました。

まず、郡山市から神奈川県に自主避難した松本徳子さんがお話を聴き、ニーズカードを選んで対話しました。

3+1(サンタスイチ)の河合監督も、ワークに加わっています。

由佐美加子さんからは、「選んだカードのニーズは、ひとりでは満たせないよう出来ています。私達はそのニーズを支え合って満たすように出来ているんです。どうしたら、今選んだカードのニーズをみんなで支え合って満たすことができるか、話し合ってみてください」という問いかけがあり、対話が深まっていきました。
 
続いて、郡山から静岡県に自主避難した長谷川克己さんのストーリーが語られました。


 
その後、会場の参加者、Zoomの参加者の声を聴きました。


 
今回のイベントは、「分断を乗り越えるあたらしい試み」ということで、非暴力コミュニケーションのワークを取り入れ、Zoomで外部から繋ぐという新たな取り組みを行いました。
 
非暴力コミュニケーションのワークによって、渋谷会場やオンライン会場が共感で繋がっていることが感じられました。また、Zoomで参加することにより、会場に来れない人たちとも繋がっている。声は、遠くにも届いているというメッセージを伝えることができたように思います。
 
今回は、市民活動の新しい形を示すことができたのではないかと思います。
 
この取り組みをプロトタイプとして、様々なチャレンジを続けていきたいと思います。
 
※イベントページからも当日の様子を知ることができますのでご覧下さい。FBイベントページはこちら

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