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4.82018
オンライン反転ABDで読書会をアップデートする

アクティブ・ブック・ダイアローグという読書法
Zoom革命の田原です。
私たちは、日々、様々な情報を入手して考えたり、多くの人とコミュニケーションをとったりしています。
テクノロジーの進化により、情報を入手する方法も、コミュニケーションの取り方も、日々、アップデートしていて、世界のあちこちで、新たな方法が試されています。
インターネットが発展した現在においても、書籍は、情報源として価値を持ち続けています。そこには、著者が長年かけて結晶化させてきた質の高い情報があるからです。
情報の質が高ければ高いほど、読者は簡単には受け取ることができません。書籍と対話することによって、自分自身に変容を起こしていくことが必要とされるからです。
竹ノ内壮太郎さんが開発したアクティブ・ブック・ダイアローグ(ABD)は、集合知の助けを借りて、書籍との対話を促進する画期的な読書法です。
アクティブ・ブック・ダイアローグの公式ページ
1冊の本を分担して読んでまとめる、発表・共有化する、気づきを深める対話をするというプロセスを通して、1人では気づくことが難しかった多様な視点に触れることができ、その助けを借りて、著者の考えを深く理解できるようになるのです。
また、書籍からだけでなく、読書会メンバーの知見からも、多くを学ぶことができます。
ABDは、もともとは、リアルの場で実施することを想定して開発されたものですが、Zoomを使えばオンラインでも実施可能です。実際、私の周りでは、多くのオンラインABDが実施されています。
オンラインABDを反転授業形式にアップデート
反転授業とは、アメリカで生まれた教育手法で、情報のインプットを動画を使って自宅で行い、教室ではグループワークなどを行うというものです。
この背景にあるのは、コミュニケーションをできるだけ双方向、対話的にしていこうという哲学です。一方的な情報伝達よりも、対話的なコミュニケーションに価値を置き、集まっている貴重な時間は、できるだけ対話に使おうというのです。
オンラインABDを体験したときに、リアルとは違い、オンラインで3-6時間のワークをやるのは負担が大きいと感じました。
そこで、ABDのプロセスの中で、ワークの外に出せる部分は出して、集まっている時間をすべて対話に使うことはできないかと考えたのです。
反転授業の考えに親しんでいる私は、「1冊の本を分担して読んでまとめる、発表・共有化する」の部分を、ワークの外に出すことにし、「気づきを深める対話」の部分をZoomに集まってやることにしました。
具体的には、次の方法を取りました。
(Step 1)まとめを作成する分担を決める。
(Step 2)担当者は、Zoomにログインし、録画ボタンを押してから、スライドを画面共有して説明を行って動画を作成する。
(Step 3)担当者は、作成した動画をYoutubeに限定公開でアップロードし、URLを世話人へ伝える。
(Step 4)世話人は、まとめ動画を順番にYoutubeの再生リストに追加する。
担当者が作成した動画を、再生リストにまとめると、このような感じになります。
読書会対話は、1度で完結してもよいですが、1回に100ページほど進むことにし、2週間に1度のペースで進むようにすると、無理なく運営することができます。また、読書会を中心にしたオンラインコミュニティを創造することもできます。
オンライン反転ABDの意図に沿ってアレンジする
「事前に各自が分担して動画を作成して共有した後、Zoomに集まって対話する」という方法は、扱う書籍の内容や、集まるメンバーによって、様々なアレンジが可能です。
アレンジを行うに先だって、読書会の意図を話し合っておくとよいかもしれません。
たとえば、私たちは、『出現する未来から導かれる』の読書会をするときに、
「この読書会に出現する未来に導かれる」
という意図を立てました。
そのときに扱っているテーマに関連した各自の体験がシェアされることが多いのですが、そのときに、読書会の意図のおかげで、「いったんスローダウンして、新しく生まれようとしているものに注意を向けよう」という話になり、ダウンローディングを保留して、今、この瞬間に意識を置くことができます。
また、ベルクソンの『創造的進化』では、
「心身二元論の限界を見に行き、有機体の持つ創造性の起源を探る」
という意図を立てました。読書会の進め方を話し合う中で、章ごとに中身を分担してまとめる代わりに、それぞれが、背景を調べて発表する動画を作成し、対話することにしました。これは、そのやり方のほうが、意図に沿うと感じたからです。
オンライン反転ABDによるコミュニティ創造
話題の『ティール組織』を使って、オンライン反転ABDを実施することになりました。
ティール組織は、(1)自主経営 (2)全体性 (3)存在目的 の3本柱が重要視される自己組織化プロセスです。
そこで、読書会の意図を、
「この読書会に自己組織化する「場のいのち」が、存在目的によって進化する」
と置きました。
実際に、いくつかの時間帯に自主経営する対話グループが生まれ、対話の中で各自が全体性を表現する中で、読書会メンバー全体に自己組織化が起こり、「私たちが、今、この場に集まって対話している存在目的は何だろう?」という問いを掲げながら進んでいくことで、ティール組織のことを、体験を通して深く理解できるのではないかと考えています。
4月9日(月)がキックオフ。
途中参加も、途中下車もOK。参加費は、投げ銭で行います。
参加方法など、詳しくは、こちらのFacebook投稿をご覧下さい。